「バイシースークァン」については何度も書いていますが、人々の幸福を願う儀式の名前で、イサーン地方のほぼ全ての地方で見ることができると思います。自分はマハサラカーム県やカラシン県で何度か体験しましたが、この滞在中の村でもこの儀式が行われました。その基本的なスタイルはほとんど同じ感じです。
写真は儀式で踊りを披露する子供達の練習風景。儀式の5日も前から何回も熱心に練習していました。ポンラン楽団式の踊りで馴染みがあるので自分も付き合いました。といっても舞踊の事は全然知識が無いんですが、バイシースークァンの舞踊は自分も過去に何度演奏したか分からないくらいで馴染みがあります。このポンラン楽団式の舞踊セットは、全く同じスタイルのものがイサーン地方全土に浸透しているんですね。
その儀式当日です。儀式に参加するのは主に年寄り達。
村のおばあちゃん達が集まって供え物を組み立てます。これが「バイシー」と呼ばれるもの。中に主食のもち米やチマキ、果物などを入れます。
出来上がるとこんな感じ。この形も他の県で見たものとほぼ同じです。必要な道具は食べ物と酒、それと聖水。
儀式中は「プラーム」が祈祷します。プラームが主役の儀式は仏教系では無く、主にヒンドゥー教の影響を受けたもので、つまりヒンドゥー教の神主ということになります。通常は世襲制で、ある程度の規模の村には大抵その役割を担う人が居るそうです。タイでは仏教とヒンドゥー教は対の存在、とよく言われますが、実際小さな村の儀式から王宮の大規模な儀式まで、常に同時に存在しているのが見えますね。
祈祷中は輪になって紐を回し、参加者各自が手に持ちます。バイシースークァンのクァンは「たましい」や「霊」のような物と言ったら良いでしょうか。その霊を招いて幸福をもたらしてくれるように願うわけです。仏教のお経と違ってプラームの祈祷はその内容が参加者にはっきり聞き取れる内容で、その心地良い内容に「ほろっ」とする人も居るようです。
祈祷が終わるとお互いの手首に糸を縛りながら祝福する、「プークカェーン」と呼ばれる儀式。基本的に祝福は年長者がそれより若い人に行います。手首に巻く糸はプラームが持ってきた聖水を振りかけたもの。
この村で初めて見た点ですが、手首に糸を縛る時にお金(紙幣)も縛り付けます。将来お金がいっぱい集まるようにということのようです。それと、祝福を受ける若者が卵、もち米、果物等の食べ物を手に載せているところ。この卵は、後で殻を割ってその中身を見ます。殻をむいて全体に表面がつるつるだと、非常に縁起がよいということで、ある種の占いになっているようです。殻がくっついて表面が割れたりすると縁起が悪いんだそうで。占った後、その卵は手に乗せていた本人が食べちゃいます。
儀式が終わったら子供達が何日も練習した踊りを披露。残念ながら楽器は無くてVCDでした。
おまけ。
滞在した家の子供。この子は遥か2年以上前の訪問時、自分がポンラン楽団のビデオを見せて「楽しいよ~、習ったら良いと思うよ~」と刷り込んでおいたんですが、その後は舞踊を習うようになって、中学生になった現在は祭りで行列の先頭を勤めたり、近所の子供達に教える役割になっていたのでした。よかったよかった。
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