2007-05-29

ネットで試聴するプータイ

最近プータイにこだわっていたので(こればっかり)、ネットでプータイ風の楽曲を試聴するリンク集でも。メジャーなルークトゥン・モーラムはいっぱい有るでしょうから除いています。

試聴と言えば、まずはbaanmahaの掲示板。音は酷いけどサンプルということで。
と、ここでちょっと モーラムシン・オンラインの掲示板 を見てみたら、ラムプータイとラムタンワーイのジャンル専用の板が有りました。
他にもgoogleさんに聞いてみると無数に有りそうですね。
  • ฟ้อนภูไท
    ちょっと凄いなと思ったのが古典舞踊のページから、まさに古典のフォーン・プータイ。舞踊用。
プータイに限らないですが以下、興味深いところ。
  • Monsoon-Country » Laos
    東南アジアの民族音楽を収集しているMonsoon-CountryのLaosカテゴリーでは、ラオスの主な土地の歌を種別毎にきちんと分けて簡単に説明している(最後、はしょっているけど)。

  • Traditional Music and Songs in Laos
    ノーザン・イリノイ大の東南アジア研のラオス、サワンナケートのプータイの踊りの為の曲を含む。
    ここのケーン独奏のサンプルアルバムとか、どれも思いっきりラオスの素朴な伝統的スタイルで、その方が興味深かったりして。
ネット巡りを始めたらきりが無いので、このくらいで。
ここで停電、でも自動保存されてました。blogger.com偉い。

2007-05-22

テレビで見るラムクローン

ケーンとモーラム(歌手)だけで演ずるラムクローンの類は今やタイでも随分マイナーな分野になってしまっているわけですが、ごく一部のテレビ番組で定期的に見ることができます。

写真はASTV4の番組の画面で、今月は一日おきに朝6時半ぐらいからやっているラムクローンの録画放送のもの。ごくたまにですがチャウィーワンさんやポー・チャラートノーイといった国宝級モーラムも出てきます。

ASTVは新聞社プーチャッカーンの社長ソンティ・リムトーンクンがオーナーの衛星放送で現在4つほどのチャネルがあり、その一つがこのイサーン・ディスカバリー・チャネル。番組は全て、ニュースに至るまでイサーン語だけを使うという徹底ぶり。一般的なケーブルテレビ受信機を設置しているアパート等ではほとんど見ることができると思います。

今月は早朝、一日置きにラムクローンとポンラン楽団の録画を放送しているようです。ポンラン楽団はあちこちの県の子供の楽団ばかりで同じ録画が多いのですぐ飽きちゃうと思いますが、レパートリーの流行とかを見るのが自分には役立っています。他にもラムルアン・トークローン(モーラム芝居)も時々ありますが、これはもう全然聞き取れなくて内容がわかりません。

残念なのは音が悪いこと。衛星の帯域節約かケーブルテレビの設備のせいかわかりませんが、時々VCDが読み取りエラーを起こしたように止まってしまう事もしばしば。それとオーナーが新聞社プーチャッカーンの社長で民主主義市民連合のリーダーということもあって、時々政治集会や演説に占拠されてしまうことですね。とはいえラムクローンが見れるようなテレビ局は他に無いので、やはり貴重なチャネルだと思います。
  • 番組表 (イサーン・ディスカバリーは最後の表)
ちなみに自分が払っている受信料は一ヶ月100B。NHKワールド等も含まれていて70チャネルぐらいあります。

2007-05-15

プータイ語

プータイ語に関する記述を抜粋メモ(最近プータイに凝っているので)。

サコンナコンのプータイ語に関するこちらのページ ผู้ไท では、プータイ語はラオ語とタイ中部語が訛って変化した言語として解説している。

タイ語とプータイ語の対応規則があったので、以下に表にしておく。声調においてタイ中部語と一致しない面も多く、タイ語の書き言葉で説明することはできないが、これらは部分的に説明できそうな原則。


変化(タイ語⇒プータイ語)例(タイ語 - プータイ語)
母音の対応母音 เ-ีย ⇒ เ- (ia ⇒ ee)เมีย - เม / เขียน - เขน / เขียด - เคด
母音 เ-ือ ⇒ เ-อ (ɯa ⇒ əə)เสื่อ - เสอ / เลือด - เลิด / เมือง - เมิง
母音 -ัว ⇒ โอ (ua ⇒ oo)ผัว - โผ / ด่วน - โดน / สวน - โสน
一部の語において
母音 ไ, ใ, -ัย ⇒ เ-อ (ai ⇒ əə)
ใต้ - เต้อ (一声と二声の中間に訛る)
ใส่ - เชอ
ให้ 「(物を)あげる」 - เห้อ (訛る)
ใหม่ - เมอ
一部の語において
母音 -ึ ⇒ เ-อ (ɯ ⇒ əə)
ลึก - เล็ก / ผึ้ง - เผิ่ง (訛る)
子音の対応一部の語において
子音 ข ⇒ ห (kh ⇒ h)
เขียง - เหง / ขาย - หาย / ของเขา - หองเหา / เขา (動物の角) - เหา
子音 ร ⇒ ฮ (r ⇒ h)เรือ - เฮือ / เรือน - เฮือน / รอย - ฮอย / ร้อง - ฮ้อง / รีบ - ฮีบ
末子音の変化一部の語において
末子音 -ก ⇒ 消失して短母音に。
แตก - แต้ะ / แบก - แบ้ะ / ผูก - พุ / สาก - ซะ / ปาก - ป้ะ

"一部の語"となっているのは、例外もあるという意味。例えば ไก่ は เกอ とはならず ไก だが第一声が少し訛ったものとなる。

以下はタイ語起源では無い語の例(タイ語 - プータイ語)
  • สิ่งของหาย - เฮ้
  • หายเจ็บหายไข้ - ดี๋เจ็บดี๋ไข้
  • ท้ายทอย - กะด้น
  • ผิดไข้ - มึไข้
  • ไปไหน - ไป๋ซิเลอ
  • ผู้ใด,ใคร - เพอ
  • อยากกินข้าว - เยอะกิ๋นข้าว

バンコクのタイ語との比較では、一致する語が36.73%、似ている語が36.05%というデータがあるそうだ。
非常に似ている語の例
ไก่ - ไก / ตา - ต๋า / นิ้วกลาง - นิ้วกาง / ปืน - ปื้น
やや似ている語
ปาก - ปะ / เสื้อ - เชอ
少しだけ似ている語
แขน - แหน / ขา - หา / บันได - คันได๋ / บวบ - มะโบ้บ
はっきりと異なる語 27.21% の例
มะละกอ - มะฮุง / ฟักทอง - มะจู้บ / ส้มโอ - มะเก๊ง / พระ - ญาคู / เณร - โจ๋น้อย / ช้อน - โบง / ทำ - เอ๊ด
同じか似ている語を合わせると72.78%となることから、プータイ語とバンコクのタイ語はやはり同系統の言語と見なされる。

上記の例のうち非常に異なる語の「พระ(僧侶)」や「เณร(少年僧)」等の呼称については、仏教をまだそれほど受け入れていなかった頃、各グループで呼称が異なったことによると考えられている。

野菜や果物の呼称が大きく異なるのも同様で、かつてタイ人が皆近くの土地に暮らしていたころは、パパイヤ、かぼちゃ、サボン(ส้มโอ)のこれら三種の植物はまだ無く、各民族が各地に散らばって行った後に入ってきたと考えられる。

ところでプータイ語とイサーン語との比較では、同じ語が37.67%、似ている語が52.14%で合わせて89.81%となり、これはもう疑うことなくプータイ語とイサーン語が同じ系統であるだけでなく、かつては同地域に住んでいて、ラオ族がルアンプラバーンからヴィエンチャンやサコンナコンのメコン川流域に南下してきたころに散らばって行ったのだと考えられている。シップソーンヂュタイの地域には今でも居住しているプータイ族のグループも有り、彼等はラオ語に依存している為、言語は非常に似たものとなっている。

この他タイダム語との比較では、やはり同属の言語で200年以上前に分岐したと考えられている。

その他のソース

タイ版Wikipediaの記述 ภาษาผู้ไท では、プータイ語はタイダム語から派生したものと位置付けている。

イサーン音楽のサンプルがいっぱい聴ける baanmaha のフォーラムにはプータイ語に関するボードも有って、投稿数は少ないけど歌詞の意味を質問しあったりしている(このトピックとか)。

そもそも標準イサーン語をもっと勉強するべきだけど、この辺の話もそのうち役立つかも。

2007-05-08

プータイについて

イサーン音楽でよく出てくる言葉「プータイ」について、デイリー ルークトゥンでkomtaさんが言及していたのでちょっとまとめておきます。


プータイという語

プータイという語は ภูไท / ภูไทย / ผู้ไทย などと綴り、民族名としてのプータイと、その民族の音楽としてのプータイという二つの意味で使われる。代表的な辞書では ผู้ไทย となっているが、音楽分野や歌詞の中では ภูไท 又は ภูไทย と綴られることが多い。

民族としてのプータイ

現在はラオス北部やイサーン地方(ナコンパノム、カラシン、ムクダハン、サコンナコン、一部ウボンラーチャタニー、ウドンタニー、ルーイ、ロイエト等)に多く住む民族。

プータイ民族はかつてシップソーンヂュタイ (สิบสองจุไทย) やシップソーンパンナー (สิบสองปันนา) と呼ばれる地域(現在のラオス北部やベトナム)に住んでいた。 歴史の中にはプータイ民族の首領がビエンチャン王国の反乱を鎮圧するのに活躍し、ビエンチャンの王から娘を与えられて結婚し、生れた子供に地位を譲って当人は多くの地方都市を統治した、という話がある。その後プータイ民族はビエンチャン王国の南やサワンナケート等へと広がっていって数々の都市を作った。

やがてタイのラタナコーシンのラーマ3世の時代、ビエンチャン王国はタイと敵対してタイ軍に破れ、タイ王国の方針で、今後プータイやその他の民族をビエンチャンやベトナムに加勢させないように、メコン川のこちら側(現在イサーン地方)に移住させた。これがイサーン地方にプータイ民族が多くいる理由ということになるか。

その他詳細は以下のページで。
puthai (読みきれない)
文化庁のページ (読みにくい)

音楽分野でのプータイ

モーケーンの多くはケーンの独奏のアルバムを出すと、プータイという曲を録音している。人によってライヤイだったりライノイだったり、或いはその両方だったりするが、総じてゆったりとしたリズムでどれも一部に似た旋律が現れる。

ラムクローンもある。内容はもちろんプータイ民族の事柄。

ルークトゥンモーラムで題名にプータイが含まれる曲にも、やはり終始プータイのゆったりとしたリズムと旋律が現れる。


ちなみに自分が好きなのはピーイサーン (ปี่อีสาน) という笛が主旋律で、ケーンやピンがその伴奏をするもの。ずっしりとしたリズムでライヤイから入り、気分に応じてライノイに転じて盛り上げる、この伴奏をするのが自分は好きです。ピーイサーンは ピープータイ (ปี่ภูไท) とも呼ばれるので、まさに「プータイ民族の笛」ということもできる。

ポンラン楽団では有名なスタンダード曲のプータイ・サームパオ (ภูไท ๓ เผ่า) を頻繁に演奏します。「プータイ三民族」の意味で、プータイ・サコンナコン、プータイ・カラシン、プータイ・ナコンパノムのそれぞれの民族の旋律で構成されたセットで歌も少し入ります。

自分がナコンサワンやラーマ8橋で参加させてもらったポンラン楽団の名前は『หนุ่มภูลาว สาวภูไท จากกาฬสินธุ์』で、つまり「カラシンから来たラオの若者とプータイの乙女」という意味。この時にやったプータイ・サコンナコンは導入がダンサーの太鼓とケーンだけで、とても気持ちよかった。

というわけで「プータイ」は非常によく聞く言葉なのです。