2007-10-31

ソルツインホテルにて

29日(月)は都内のホテルにて、結婚式の披露宴の為に演奏した。

地方での儀式的な雰囲気が欲しいということで、舞台で座っての演奏。その前でダンサーが踊るというスタイル。

この日は直前になって一部メンバーがオープニングに間に合わないという事態が起こり、自分はポンランを叩くことになってしまった。人前で叩くのは初めてな上に練習したことが無いメロディーでテンパってしまってボロボロだった。ポンラン楽団でのポンランは言わばリード楽器だから、これはかなり問題。

そもそもポンラン楽団の基本テーマは束の間の幸福を演出すること。丁寧にやることよりも、やはり気分を持ち上げて気合を入れて臨むことが大事ですね。自信の無い演奏はご法度と痛感。まぁこういう失敗も糧になるかな、と思うことにしようかと。

ダンサーと記念撮影。貧相に見えるけど、これが舞台での正装。

この日はタイの日本語フリーペーパー『WEB』に取材して頂いたのでボツらなければ後日載るかも。

2007-10-15

セーリー・センターにて

日曜日はシーナカリン通りのセーリー・センターにて子供楽団の演奏。

セーリー・センターはバンコク東側では有数の巨大ショッピングモールであるシーコン・スクエアのすぐ近くにあるマーケット。食品や衣料の細々とした小さな店がびっしり入っている建物で、バンコク東部に住む人はほとんど買い物をしたことがあるんじゃないかと思います。バンコク中心のショッピング街に比べたら価格も安いし。

今回演奏したその正面玄関の上下階吹き抜けのステージは、買い物客がたくさん見物していくので活気が有って良い感じです。内容は司会のS先生の歌うイサーンバーンハオ、タイプアン、カンタゥルムのルアムチャップクラップ、ソァーン・ポンラン等で1時間少々。途中ライヤイのソロもやらせてもらった。あちこちミスったけど、正直分かる人はほとんど居ないだろうという安易な考えをしてしまうこの頃です。

終わってからA先生のおごりで同ビル内のMKスキーを食べたり買い物したりして帰った。普段はMKなんて日本人の知り合いが来た時ぐらいしか行きません。なんでかというとビールが高いんです。あの鍋料理を食べてると凄くビールが飲みたくなるので。しかし店員は気が利くし愛想が良くて関心、さすがMK。

2007-10-08

ピサヌロークにて

6日(土)、ベトナムから上陸した熱帯低気圧が北部や東北部に被害を与えているというニュースの最中、ピサヌローク県での民族音楽のフリーコンサートへ向かった。

バンコクを出発して約5時間、到着時もやはり雨。このピサヌロークでも中心地以外では洪水被害のニュースが流れていた。

雨が止んだ隙になんとかサウンドチェック。しかし、なんだかいろいろ疑問を感じてきた。大人数でジャムするのにステージが狭い。それにこんな天候状態なのにステージにテントが無い。客席も狭いんだから、全部テントで覆っちゃえば良いのに、なんて思った。

なんとかチェックを済ませたら宿泊ホテルにて司会のトッドさんの部屋で打ち合わせ。

今回の主題はタイ北部地方の音楽、イサーン地方の音楽、及び西洋音楽の競演。イサーン地方の代表的な楽器と言えばピン、ケーン、ピー・プータイ。これに対して北部ならスン、ソー、そしてピー・プータイと同じ構造だけど大きさが異なる笛(名前を聞き忘れた)。

スンはピンと同様、ギターのような構造だけど4本弦、このうち2本ずつを同じ音に調律するので実質は2弦のように扱う。フレットと弦高が非常に高いので持った感じはだいぶ違うようだ。

ソーはタイ中央楽器のソーと同じく2本弦だけど、タイ中央のソーが2本の弦の間に弓を通すのに対して北部のソーはどちらの弦も上から擦る。ボディーは椰子の殻で、弦はメタル弦のようだった。

写真の右の若者はこれら北部の楽器を全てこなすという天才。なんとまだ中学三年生。ピー・プータイと音合わせ中。ピープータイと違って調律用の穴は無いので他が合わせるしか無さそうだ。しかしFmのスケールでほぼ一致した。

この北部の笛のリードを見せてもらった(写真ピンボケですが)。リードの構造はピー・プータイと全く同じ、つまりケーンのリードと同じ。ただしサイズは倍ぐらいある。このリードがすっぽり収まるように咥えるわけだから口が大変。

夜7時半、雨が止んだので我々の出番で開演。ところがオープニングと歌一曲やったところで大雨が降りだして緊急避難。その後も雨は止まず、結局中止となった。やっぱりね、という感じだけど残念。

演奏中止で欲求不満気味の為もあってか、避難先のステージ裏の寺で約1時間ほどセッションした。写真に入っていないけど北部風の即興の語り手も加わって来て面白かった。北部風の語りは、これまた「ソー」と呼ばれるもので、丁度イサーン地方のモーラムに相当すると思ってよいそうだ。

この夜はホテルに宿泊。翌日バンコクへ向かった。翌日は嵐の後の晴天で、非常にもったいなかった。片道5時間も掛かるのに。

おまけ。写真は北部地方、特にピサヌロークの太鼓で「マンカラ (มังคละ)」と呼ばれるもの。右の小さいのを細いバチで叩くとテケテケテケと小気味良い音がする。ステージ前のブースで愛好会が展示実演をしていたもの。「マンカラ」はこの太鼓の事でもあり、これを使う楽団、その音楽のことも指す言葉でもあるらしい。なんとホテル内のコヨーテ・パブにもこの名前がついていた。

2007-10-02

ケーン用マイク

ケーン用のマイクについて思ったこと。

ケーンの本来の音は竹管全体が振動して出る音です。例えば初めて触るケーンで「ちゃんと鳴っているか」をチェックするなら、一音ずつ鳴らしたときに管の上の方を触って振動しているかどうかを見るのが効果的だと言われています。この長い竹管全体が振動して出る音ですから、聞き手にとっては少なくとも1メートル以上離れて聞く音が自然だと思います。マイク無しで演奏者の前で生音で聞いている場合なんかが最も自然な音を聞いているということになりますね。

スタジオならある程度離れた場所にマイクを置けば良いのですが、ステージだとこれが問題です。1メートルも離れたところに置いたマイクでは音が拾えませんからマイクスタンドの前に張り付くケースが最も多く、実際そういうのをよく目にしますが、これだとドローンの甲高い音がやたらと強調されちゃうことになります。ポンラン楽団の演奏を見ていてもピーピーとドローンの音ばかり聞こえることが良くありますね。これはもうしょうがないんですが、せめてちょっと斜めに構えたらピーピー音が軽減されると思います。環境が許すなら20cmぐらい離れて手の下の位置から音をとるように。ただし周りの音が大きすぎてこれだと拾えないこともありますけど。

マイクをケーンの前部に括りつけるケースも見ますがこれも同様というか、更に酷いと思います。ライヤイでもライノイでも、一番前方のドローン管に密着しているわけだから当然ですよね。

ステージではマイクを脇に挟む人もたまに見ます。これはマイク密着よりはまだ良いんじゃないかと思いますが、脇に物を挟んでる状態は演奏しにくいでしょうね。モーラムとステージを歩き回りながら、モーケーンが時々喋ったりするケースではよく見るケースですが。

一方ラムクローン等で最もよく見るのが、ケーンの底にマイクを仕込んだケースを装着する方法です。竹管の底の穴から出る音というのは実際のところ自然な音とはかけ離れた、かなり篭った音で、正直言うと悪いんですが、うるさいステージでも確実に音が拾えるし、ドローンに偏ったピーピー音も無いのでこの方法が定着しているようです。

自分が最近使っているのもやはりこの底に装着するタイプですが、そんな製品が有るわけでは無いのでお手製です。

コンビニで6Bぐらいで売っている最も安い飲料水のボトル、特にこの最も安い水ボトルが柔らかくて良いようです。適当に切って下にマイク挿入用の穴を開けます。綺麗な穴が開けられなくても、穴にボトルの飲み口をはめ込むと綺麗ですね。そして中心に真鍮か何かの棒を突き刺すと、これが丁度ケーンの竹管の間にうまく嵌るようになります。手軽ですね、10分でできますし。これに管楽器用ミニマイクを装着します。写真のマイクは有名なAKGの管楽器用コンデンサマイク。近所に住む元職業ドラマーのK氏にお願いして日本で買ってきてもらったものです。

装着するとこんな感じ。真鍮の棒のがケーンを束ねている内側の竹に当たるのでマイクを潰す心配は有りません。抜ける落ちるのが心配な時は装着した後、上側にもう一本棒を差すと固定されます。

見た目がちょっとナニですね、色でも塗った方が良いでしょうか。それはともかく音はもうちょっと工夫が必要なようです。容器内での反響がいけないとしたらスポンジでも入れたほうが良いのか、それとも空気が抜けるように穴を開けたほうがよいのか、とかいろいろ有りますが、その辺の知識が無いのでまだ未対策です。