3月8日から15日の一週間は、師匠であるロイエト県のケーン職人ブア先生の所で勉強。
師匠に習いに行くのは今回で4回めですが、ちょっとさぼっていたつもりが前回から3年近く経ってしまいました。なんだか時間が経つのが早すぎて恐ろしいこの頃です。
村の外側の土地に新たに作られた作業場。周りは田んぼで養殖用の池も有り、大量の鶏を飼っていてかなりの自然度アップです。来客用の小屋や駐車場もしっかり有って関心。毎日いろんな訪問客が有るのでこれは良いですね。
今回の目的はケーンの修理調整の方法を学んで、普段使ってる2本のケーンを自分で修理する事。自分の思うやり方が正しいか聞いて、実際にやってみて、もし失敗したら師匠に頼ろうという作戦でしたが、思ったより順調で最初の2日間で目的達成してしまった。なので3日目からは師匠が修理依頼で客から預かっているケーンを修理(笑)して、これもなんとか2本完了。「じゃぁ次はこれをやってみろ」と渡されたのが、カラシン県の職人が作ったケーン。これは難しすぎでした。低音のリードの頭がない作りなので、もの凄く薄い。こんなの削ったら即破壊してしまうだろうという物で、色々やってみたけどどうにも調整出来ない感じだった。
ケーンの構造は同じでも作る職人によって方法に違いが有るんですね。例えばリードの形が違っていて他のケーンと同様の方法では調整できない。またルーペー(竹管の上下の調音穴)の距離は1対3というのも、職人によってはそうとは限らない別の法則を使っているとか。この辺はかなり勉強になりました。少なくとも自分で直せそうな物と、難しそうな物の見分けがある程度はできそうだということで、今回の滞在は実が有ったと思います。
その他、風景等。
新しい作業場になっても相変わらずごちゃごちゃな作業台。
右はリードに切れ込みを入れるノミ(タガネ?)用の金床。以前は伝統的に象の骨を使っていたけれど現在はエンジンのピストンを使っているようだ。この金属の柔らかさが調度良いのだそうで。師匠のように30年以上やってても道具がころっと変わったりするのが面白い。
こちらはケーンの修理依頼に来たモーケーン・ソンバット・シムラー氏。お会いするのは8年ぶりぐらいかな。生まれた時から盲目のモーケーンとして、たぶんタイで最も有名な人ですね。修理待ちの間に惜しげも無く次々に演奏を披露してくれました。
携帯でちょっとだけ録画したのでアップしておきました。
A.Sombat Simla shows guitar-like khaen play
ちなみに吹いているのは自分のケーンで今回修理した物。このケーンの状態はどうか聞いたら「非常に良いよ」との事なので一安心。
師匠の奥さんが作った朝ごはん。ここの食事は何を食べても美味くて滞在する度に食べる量が普段よりかなり増えてしまう。
日本で無肥料無農薬が流行ってるようだけど?なんて話をしたら、「うちじゃ米も野菜も肥料も殺虫剤も使ったことがない、先祖の時代からずっと同じ」だそうで、やっぱり素材からして味が違うのかも。
夕方、ほぼ仕事を終える頃に鶏に餌をやるのが日課で、その時間が近づくと鶏が集まって来る。餌を蒔くと凄い勢いで喧嘩しながら奪い合う。
後で電話で話していたら「今日二羽潰して料理したよ」だそうで…、まぁその為に飼っているわけですが。
近所の人が集まって、作業場の養殖池の魚を捕っている所。養殖といっても最初に数種類の魚を何匹か放したら、あとは放ったらかしで何もしなくても繁殖するそうです。
料理する息子さん。魚は分け合ってもかなりの量で、炭火で焼いたり煮物にしたりで美味しく頂きました。
他にも毎晩バーベキューやら何やら美味しいもの食べまくりで、勉強しに行ったのに申し訳ない感じの一週間でした。
5 comments:
はじめまして、わたくし最近ケーンを勉強し始めました、牛田と申します。東京在住です。
まだまだ吹き方の基本もよく分からない状態なのですが、muriさんのブログやサイトを拝見し、勉強させていただいております。
ケーンについていくつか質問させていただきたかったのですが、どちらにご連絡差し上げればよいか分からなかったので、こちらのコメント欄をお借りいたします。
【質問1】
来月5月2日~5日ごろに渡タイして、ケーンを買いに行こうと思っているのですが、買う場所のオススメはございますか。
(職人から買うのが一番だとは思うのですが、製作には時間がかかりますよね…? )
【質問2】
初心者が学ぶにあたっての良い教材を探しています。
日本にいても動画やブログで勉強できるとは思うのですが、私の知識不足やタイ語の拙さにより、どれを選べばよいのかわからない状況です。なので、muriさんのオススメの勉強方法があったら教えていただきたいです。
ちなみに東京在住でケーンが吹ける人がいないかも探しているのですが、タイ人に聞くと「タイに行って習え」と言われてしまいます。
以上です、長々と失礼しました。
お返事いただけたら幸いです。
牛田さん、練習なさっているということは既にケーンを持っていらっしゃるんでしょうか。もしそうなら壊れるまでそれで練習するのが良いと思います。有名職人の作品を買ってもメンテナンスできる人が居なければ無駄になりますし。量産品ならバンコクならチャトゥチャック市場とかで買えると思います。
質問2の教材と言っても、以前私が書いた程度の物しか無いと思います…、って今確認しようとしたらサイトに繋がらないようなので、また後日対策します…。
最初の練習はまずはドレミが吹けるように、そしたら簡単な歌とかいろいろ吹いてみる事ができますね。それ以降は実際に人の演奏に触れる環境が一番なので、周りにやる人が居なければ「タイに行って習う」のは最も効果的ですね。
ご返信いただきありがとうございます。
はい、ケーンを一本持っております。
ですが、既に壊れてしまっているので、新しいものを買いに行かねばと考えましてご連絡差し上げた次第でした。
説明が足らず、すみませんでした。
私が持っているものは、まさにチャトゥチャックで買った一本です。もしかしたら量産品は壊れやすいのかなと思い、次は良い物を買おうと思っておりました。
しかし、そもそもケーンとは壊れやすい楽器なのでしょうか。
もし値段と耐久性に相関関係がなく、良い物でも量産品でも同じように壊れていくのであれば、今の段階では安いものを何本か買ってきて壊しつつ練習する方が良さそうですね。
練習方法については、やはり日本で学ぶにはいくつも難がありますね。(ただ、タイに長期間学びに行くのは、現在の状況では現実的ではありません…(泣)。)
習うより慣れろ、といいますか、体で覚えていくような楽器なのだなと再認識しました。いまとれる最善の勉強法は、ケーンを吹ける人を探しつつ、YouTubeで上手い人の演奏を見て覚える方法ですかね。
ありがとうございました。
また何かありましたら、こちらに質問させていただいてもよろしいでしょうか…?
ケーンは壊れやすいかと言われれば…、壊れやすいですね。周りに修理する人が居なければ仰る通り、量産品を幾つか買うのも良いのでは無いかと思います。
そうですね、Youtubeでも何でも演奏を見るのが良いと思います。耳が肥えると当初聞こえなかった音が聞こえるようになって発見も有ります。
また質問が有ればどうぞご遠慮なく。
わかりました、ありがとうございます!
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