2006-10-23

スリン続き、ブリーラムへ

翌日もまた寺で儀式。トートガティンと呼ばれるこの儀式は、寺にお参りして坊さんの服となる布を献上するもの。

タイの地方の寺は小学校を兼ねていることが多く、ここも多くの少年僧の宿舎と学校でもある。我々のポンラン楽団の本体はタイ音楽協会という組織に属していて、その関係者全てからの寄付で校舎を建て、机と椅子を寄付する、というのが今回の訪問の本題らしい。

写真は寄付された机に座ってみる少年僧達。

儀式では誰がいくら寄付したかをいちいち読み上げる。ようするに金額を競い合っているのだけど。坊さんの説教を含め、儀式は何時間にも及ぶので我々は外でのんびりと過ごす。そのうちに「総額100万バーツを越えましたー!」という声がスピーカから聞こえた。

一通り儀式が終わったら、奇声を上げながら行列で本堂の周りの練り歩くお馴染みのカブアンヘーと呼ばれる行事。これがあると知っていたらケーンを持ってきたのにホテルに置いてきてしまった、残念。でも太鼓はいっぱいあるので、それとシンバルで行進。

この日午後は普通に観光へ。スリンはシルクの名産地なので機織工場や、クメール遺跡を観光。二階建て家屋ぶち抜きの機織機なんかが面白いですね。布は高くて買えないけど。


翌日、3日目はブリーラム県のパノムルン遺跡へ。

パヌムルン遺跡はイサーン地方の遺跡の中でも結構大きいクメール遺跡なので人気観光地。丘を上って遺跡本体のある場所まで行くとカンボジアの平野を見ることができる。

実は何年も前に旅行仲間と一度行ったことがあるんだけど、結構好き。

しかし丘を登り始めたら舞踊の先生(女性)がいきなり日射病で倒れる。この後この先生、遺跡の中でも足を踏み外して転ぶ。だいじょぶでしょうか。

我々は遺跡の中あちこち移動しながら、初日にバスの中で覚えたプータイを合奏。雰囲気がある場所なので結構心地良い。

地面に帽子を置いておいたら、お金を入れてくれる人が結構いました。ありがたや。観光地に行ったら毎回やろうかな、これ。

ブリーラム観光を終えた我々はそのままバンコクへ。
演奏が少なくてほとんど観光だったけど、なかなか楽しい三日間だった。

遺跡でポーズをとるダンサー。

2006-10-21

スリンにて、カントゥルム

この日はポンラン楽団とダンサーその他、50人もの大所帯がツーアバス2台でスリン県へ向かう。目的はスリンのお寺でのタンブンと地元の楽団との競演、あと遠足。

今回もN先生が同行したので、行きのバスの中でプータイの伴奏方法を習う。プータイとはタイの一民族名であると共にその民族の歌の名前でもあり、いろんな演奏スタイルがある。例えばケーンの独奏、ポンラン楽団用にアレンジされたスタイル、ピーイサーンという笛がメインで合奏するスタイル、など。

今回はピーイサーンの主旋律に合わせたケーンでの伴奏を教えてもらった。現代のポンラン用アレンジとは全然違う古いスタイル。これはもう別物と言ってもよいかもしれない。

行きのバスで何時間もやってたのでかなり覚えたと思う。おかげで同じバスの人は寝られなかったと思うけど、楽団の旅行なら普通のことなので気にしない。

夕方スリンのお寺に到着してさっそく儀式。坊さん達に祝福をもらう。

地元の楽団が儀式用の音楽を演奏。この地方の音楽はカントゥルムと呼ばれるもので、ソー・カメーンと呼ばれるカンボジア風の弓で弦を引く楽器が特徴。これに太鼓とチンチャップのリズムで歌が加わる。カントゥルムはタイでは結構メジャーなジャンルで、その旋律がポンラン楽団用にアレンジされたものも多い。

儀式の後は寺の境内のステージで、我々のポンラン楽団と交互に演奏。

カントゥルムのパフォーマンスでは、舞踊以外にもいろんなストーリーのある演技が見られる。闘鶏を模して演技者同志が強くぶつかり合うという風変わりなものもあった。カンボジア国境近くの土地なので総じてクメール文化の影響が強い。歌もカンボジアの言葉が多く、タイ中部の人のみならずイサーン人でもほとんど理解出来ないそうだ。

本場のカントゥルムを見るのは今回が初めてで、なかなか興味深かった。ソー・カメーンの旋律は一度聞くとかなり耳に残る。夜11時ぐらいまで演奏した後、我々はホテルへ向かった。

動画各30秒1.3MB
追記: 片仮名の表記をカントゥルムに修正した。タイ語では กันตรึม

2006-10-14

定期演奏会

相変わらずの定期演奏会。今回は二つの曲からなる新しい踊りのセットが加わった。

しかし曲名が分からない。前の週から、練習してる時に回りの若者に訪ねてるんだけど誰も知らない。楽器の先生に聞いても分からない。どうやら踊りの先生が持ってきた曲なので彼女に聞かないと分からないらしい。

準備の時、なぜか自分用にポンランを設置されてしまった。ポンランはまだ無理ですって。今回もケーンですよ。

あと元お笑いのS先生がイェームヤソートンを熱唱。満足そうだった。

この日はN先生が遊びに来た。民族楽器を集めた祭があって、去年バンコクでやった時にN先生が出てたんだけど、今回は韓国で行われたので出演してきたとのこと。アドバイスを貰おうとアーンナンスーヤイを聞いてもらうと、とにかく速過ぎ、急ぎすぎ、と言われる。これは毎回言われる。

それから、コンケンでのケーン・コンテストの時にN先生が気に入って外に連れ出しきた高齢のモーケーンが自分にはとても興味深かったのでそのことを聞いた。なんだか他で聞いたことが無い独特の心地良い音だったので、あれはテクニックなのかそれとも高齢で力が減って自然にああなったのかと聞くと、「あれは自然だよ」とのこと。あのモーケーンは実はケーン職人でもあるそうで、そのうち会いに行くことも可能だそうだ。また是非会ってみたい。

この日は練習の時からアメリカ人の老夫婦が我々のことをずーっと見学していた。N先生の昔の弟子の両親だそうだ。いろんな弟子がいるんだなー。でもこの定期演奏会などは、外国人の観光の一つとしても結構良いんじゃないかな。

次週は練習はお休み、楽団ごとブリーラムへ演奏旅行の予定。

N先生と老夫婦 video 30sec/1.3MB

2006-10-02

ウォートの滑りを良くする

ウォートの頭の黒い部分。ウォートを吹く時はこれを口の下に当てて軸とし、本体をグルグルと回すことによって音程を変えるわけですが、これの滑りが悪くなってくると滑らかに回らないだけでなく、口の下の皮を引っ張って痛くなったりします。

これを改善する方法をA先生に教えてもらいました。

この黒い部分は、ケーンに使われるヤニ「キースート」と同じ物なんですが、製法が若干違っていて常温ではプラスチックのような硬さになっています。

ですが、同じキースートですから温度が上がると柔らかくなります。そこでまず、写真のようにライターの火であぶります。10秒ぐらい、動かしながら全体に均一にあぶると表面がぶつぶつになってきます。

表面全体がぶつぶつの状態になったら、薄いビニール袋で覆って木へらか何かで空気を追い出し、密着させます。写真ではポンランのスティックを使っています。

熱くなっているキースート全体にビニールがぴったりくっついたら、ビニールの周りの余分な部分を切り取ります。

これで出来上がり。このビニールの膜を付けたまま使用します。そのうち膜が剥げてきますが、キースートの滑りは以前より良くなっているということです。

ただ、自分はウォート自体、あまりまじめに練習したことがありません。慣れていないからでしょうが、非常に息を使って苦しいんですよね。以前自分の隣でウォートを吹いていた高校生が舞台上で立ちくらみして座り込んでしまったことが有りますが、これが自分にはよく理解できる出来事でした。