2015-04-02

ケーンの勉強、第4回

3月8日から15日の一週間は、師匠であるロイエト県のケーン職人ブア先生の所で勉強。

師匠に習いに行くのは今回で4回めですが、ちょっとさぼっていたつもりが前回から3年近く経ってしまいました。なんだか時間が経つのが早すぎて恐ろしいこの頃です。

村の外側の土地に新たに作られた作業場。周りは田んぼで養殖用の池も有り、大量の鶏を飼っていてかなりの自然度アップです。来客用の小屋や駐車場もしっかり有って関心。毎日いろんな訪問客が有るのでこれは良いですね。

今回の目的はケーンの修理調整の方法を学んで、普段使ってる2本のケーンを自分で修理する事。自分の思うやり方が正しいか聞いて、実際にやってみて、もし失敗したら師匠に頼ろうという作戦でしたが、思ったより順調で最初の2日間で目的達成してしまった。なので3日目からは師匠が修理依頼で客から預かっているケーンを修理(笑)して、これもなんとか2本完了。「じゃぁ次はこれをやってみろ」と渡されたのが、カラシン県の職人が作ったケーン。これは難しすぎでした。低音のリードの頭がない作りなので、もの凄く薄い。こんなの削ったら即破壊してしまうだろうという物で、色々やってみたけどどうにも調整出来ない感じだった。

ケーンの構造は同じでも作る職人によって方法に違いが有るんですね。例えばリードの形が違っていて他のケーンと同様の方法では調整できない。またルーペー(竹管の上下の調音穴)の距離は1対3というのも、職人によってはそうとは限らない別の法則を使っているとか。この辺はかなり勉強になりました。少なくとも自分で直せそうな物と、難しそうな物の見分けがある程度はできそうだということで、今回の滞在は実が有ったと思います。


その他、風景等。

新しい作業場になっても相変わらずごちゃごちゃな作業台。
右はリードに切れ込みを入れるノミ(タガネ?)用の金床。以前は伝統的に象の骨を使っていたけれど現在はエンジンのピストンを使っているようだ。この金属の柔らかさが調度良いのだそうで。師匠のように30年以上やってても道具がころっと変わったりするのが面白い。


こちらはケーンの修理依頼に来たモーケーン・ソンバット・シムラー氏。お会いするのは8年ぶりぐらいかな。生まれた時から盲目のモーケーンとして、たぶんタイで最も有名な人ですね。修理待ちの間に惜しげも無く次々に演奏を披露してくれました。

携帯でちょっとだけ録画したのでアップしておきました。
 A.Sombat Simla shows guitar-like khaen play

ちなみに吹いているのは自分のケーンで今回修理した物。このケーンの状態はどうか聞いたら「非常に良いよ」との事なので一安心。


師匠の奥さんが作った朝ごはん。ここの食事は何を食べても美味くて滞在する度に食べる量が普段よりかなり増えてしまう。

日本で無肥料無農薬が流行ってるようだけど?なんて話をしたら、「うちじゃ米も野菜も肥料も殺虫剤も使ったことがない、先祖の時代からずっと同じ」だそうで、やっぱり素材からして味が違うのかも。



夕方、ほぼ仕事を終える頃に鶏に餌をやるのが日課で、その時間が近づくと鶏が集まって来る。餌を蒔くと凄い勢いで喧嘩しながら奪い合う。

後で電話で話していたら「今日二羽潰して料理したよ」だそうで…、まぁその為に飼っているわけですが。


近所の人が集まって、作業場の養殖池の魚を捕っている所。養殖といっても最初に数種類の魚を何匹か放したら、あとは放ったらかしで何もしなくても繁殖するそうです。


料理する息子さん。魚は分け合ってもかなりの量で、炭火で焼いたり煮物にしたりで美味しく頂きました。

他にも毎晩バーベキューやら何やら美味しいもの食べまくりで、勉強しに行ったのに申し訳ない感じの一週間でした。