自分はラムクローン等のいわゆるケーン・サイ・モーラム(ケーン一本にモーラムの歌が加わること)の経験がほとんど有りません。今回宿泊した家にはラム好きのおばあちゃん、おじいちゃん達が尋ねてきたので、この機会にたっぷり手合わせをしてもらいました。
村のモーラムなおばあちゃんとおじいちゃん。形式は一般的に聞かれる伝統的なラムクローン、ラムローンのスタイルとほぼ同じのようで、主にターン・サン、ターン・ヤーオ、トァーイの三種類です。それぞれ、以下のもの。
- ターン・サンはメジャー調で軽快なリズム。ケーンは主にスッサネン。
- ターン・ヤーオはマイナー調で朗々と歌い上げるもの。ケーンは主にライヤイ。
- トァーイはマイナー調で重く強いリズムを刻むもの。ケーンはライヤイかライノーイ。
トァーイになると、踊りだすおばあちゃん。
結局ラムの伴奏については「教えてもらう」というよりは、とにかく一緒にやって自分なりのやり方を見つけていく、という感じでしょうか。一言だけ言われたのは、「語りが始まったらちょっと音を押さえなさい」ということだけでした。実際ラムが非常に聞き取りにくくて、旋律が今どこに向かっているのか分からなくなることがしばしば有りました。単に自分のケーンの音が大きすぎたようです。
何度か練習させてもらった後の22日、お寺で行われた村民会議の場で披露。
歌うのも見るのも村人。おばあちゃん達は何人も入れ替わり立ち代りで歌います。伴奏は自分のケーン一本だけですから、わかんなくなっても止まるの禁止です(笑)。
イサーン地方の田舎なら、昔はどこの村にもモーケーンは居たものですが、今のこの村には全く居ないそうです。特に職にするほど上手な人が居たら、もっと需要のある土地に移っていってしまうのだそうで。そういう事情で、たとえ外人でもモーケーンが来たということで結構喜ばれたようです。
このときはラムが入る前に独奏でやったんですが、吹き始めた途端に喜んで奇声を上げる人とかが居ました。ケーン吹いて奇声を上げて喜ばれるなんていうのは初めての経験です。聞く機会が減ったにせよ、やはりイサーンの田舎ではまだまだケーンの音に対して血が踊るような、特別な感情が有るのかもしれません。
滞在中毎晩次々と訪れた、村の歌い手達と。
おかげでこの村での滞在は、なかなか楽しい十日間でした。よい経験だったと満足をしつつ、バンコクへ向かいました。
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