2008-07-27

ウボン旅行3 バイシースークァン

「バイシースークァン」については何度も書いていますが、人々の幸福を願う儀式の名前で、イサーン地方のほぼ全ての地方で見ることができると思います。自分はマハサラカーム県やカラシン県で何度か体験しましたが、この滞在中の村でもこの儀式が行われました。その基本的なスタイルはほとんど同じ感じです。

 
写真は儀式で踊りを披露する子供達の練習風景。儀式の5日も前から何回も熱心に練習していました。ポンラン楽団式の踊りで馴染みがあるので自分も付き合いました。といっても舞踊の事は全然知識が無いんですが、バイシースークァンの舞踊は自分も過去に何度演奏したか分からないくらいで馴染みがあります。このポンラン楽団式の舞踊セットは、全く同じスタイルのものがイサーン地方全土に浸透しているんですね。

その儀式当日です。儀式に参加するのは主に年寄り達。 
 
村のおばあちゃん達が集まって供え物を組み立てます。これが「バイシー」と呼ばれるもの。中に主食のもち米やチマキ、果物などを入れます。
出来上がるとこんな感じ。この形も他の県で見たものとほぼ同じです。必要な道具は食べ物と酒、それと聖水。
儀式中は「プラーム」が祈祷します。プラームが主役の儀式は仏教系では無く、主にヒンドゥー教の影響を受けたもので、つまりヒンドゥー教の神主ということになります。通常は世襲制で、ある程度の規模の村には大抵その役割を担う人が居るそうです。タイでは仏教とヒンドゥー教は対の存在、とよく言われますが、実際小さな村の儀式から王宮の大規模な儀式まで、常に同時に存在しているのが見えますね。

祈祷中は輪になって紐を回し、参加者各自が手に持ちます。バイシースークァンのクァンは「たましい」や「霊」のような物と言ったら良いでしょうか。その霊を招いて幸福をもたらしてくれるように願うわけです。仏教のお経と違ってプラームの祈祷はその内容が参加者にはっきり聞き取れる内容で、その心地良い内容に「ほろっ」とする人も居るようです。
祈祷が終わるとお互いの手首に糸を縛りながら祝福する、「プークカェーン」と呼ばれる儀式。基本的に祝福は年長者がそれより若い人に行います。手首に巻く糸はプラームが持ってきた聖水を振りかけたもの。

この村で初めて見た点ですが、手首に糸を縛る時にお金(紙幣)も縛り付けます。将来お金がいっぱい集まるようにということのようです。それと、祝福を受ける若者が卵、もち米、果物等の食べ物を手に載せているところ。この卵は、後で殻を割ってその中身を見ます。殻をむいて全体に表面がつるつるだと、非常に縁起がよいということで、ある種の占いになっているようです。殻がくっついて表面が割れたりすると縁起が悪いんだそうで。占った後、その卵は手に乗せていた本人が食べちゃいます。
儀式が終わったら子供達が何日も練習した踊りを披露。残念ながら楽器は無くてVCDでした。

おまけ。
滞在した家の子供。この子は遥か2年以上前の訪問時、自分がポンラン楽団のビデオを見せて「楽しいよ~、習ったら良いと思うよ~」と刷り込んでおいたんですが、その後は舞踊を習うようになって、中学生になった現在は祭りで行列の先頭を勤めたり、近所の子供達に教える役割になっていたのでした。よかったよかった。

2008-07-26

ウボン旅行2 タラカーンのモーケーン

タラカーン到着後、地元で有名なモーケーンが経営するレストランがあると聞いたので、さっそく尋ねてみた。

店の名前『ラーン・ンガン・ンガン・ンガン』は直訳すると「カネ・カネ・カネの店」と酷い名前です。経営者の本名「ンガン」から付けた名前のようです。ンガンは本来はたぶん「銀」の意味ですが、「お金」の意味も有るので洒落でこんな店名を付けたんでしょう。

地元風のラープ・スックとゲーン・オーム。かなり苦味が利いている、田舎の味です。バンコクの飯屋でも知り合いのイサーン人が注文するとこういう苦味の強い味付けで出てくることがありますが、外人の自分が注文するとまずこういう味は出てきません。

普通に料理を注文して食べた後、「モーケーンに会いに来たんですが」というと、「6時に店閉めるからその時また来なさい」ということで、夕方ケーンを持ってまた行ってみた。

モーケーン・ンガン先生。この店の経営者ですが、職業モーケーンでもあります。ケーン・ダーラオ等の超有名モーラムの伴奏をしたことも有ったそうです。

まずは自分に吹いて聴かせろというので吹いてみせると、ある程度はできるということで、ウボンのケーンの旋律について実演しながら語ってくれました。それによると、ウボン特有の旋律はまずポーサイとティッスート。

ポーサイは左手の親指(上のド)を閉じるモードで、イサーンのどの地方にもあるんですが、常に一定の息で淡々とリズムを刻んで行くのがウボンのスタイル。旋律は非常に平坦(というか旋律が有るのかさえ微妙)ですが、難しいのは安定した息ですね。

ティッスートは「上のレ」をキースートで閉じるモード。断言は出来ませんが、自分の解釈では一般的なライ・ソイと同じだと思います。もともとライ・ソイは苦手なのでこれも難しそう。

スッサネンに関して、面白いのが「上のソとラ」を同時に閉じて音をぶつける手法。普通なら不協和音が鳴りっ放しじゃないかと思うんですが、これで大きな音を響かせるんですね。「より大きく響くが繊細さは無いので、こうするかどうかは、状況や使うケーンによる」とのことです。

そんなわけで、いきなりの訪問でしたが一時間ほど講義をしてもらいました。

で、4日後の19日もまた訪問してみました。挨拶程度のつもりで酒の小瓶を持っていったら、いろいろ料理を作ってくれちゃいました。恐縮です。


近所の人も混じってちょっとした宴会状態。

またいつか訪問するでしょう。それまでにウボン風のポーサイを身に付けておきたい。

2008-07-25

ウボン旅行1

7月14日(火)は友人の田舎でのホームスティの為にウボンラーチャターニー県(ウボン)へ向かう。

普段なら二等寝台車で寝ながら行くところですが、18日がカオパンサーという仏教上重要な日であり、ウボンで行われる祭りとしては最大のロウソク祭りの時 期ということで座席は一週間前で全て売り切れ。まぁその祭りを見る事も目的だったのでしょうがない、仕方なくバスで行く事にしました。

バンコクのモーチット発の長距離バスはナコンチャイエアー社の新型。総座席数が少なく、広々とした座席は背もたれ、座椅子、ふくらはぎの辺りを置く場所の三箇所が全て電動で調節できる優れものでした。写真はその操作の説明パネル。おまけにマッサージ器もついてますが、これはバスの振動が強くなるだけみたいな、あまり使う気になりませんでしたが。

なんにしても思ったより遥かに快適で良かった。まぁ二等寝台に比べたら料金は3割ぐらい高くなっちゃうんですが。

夜明け前にウボン市内のバスターミナルに到着。コーヒー飲んだり歯磨きしたりと一休みしたら、通常バスで一時間、50km程のタラカーン郡に向かいます。これは大した距離では無いんですが、我々のすぐ前の座席に乗ったヨーロッパ人バックパッカーのカップルが尋常じゃない臭いを発していて厳しかった。長いこと風呂に入ってないのか?何だかわかりませんが、これは厳しかった。座席は満杯で移動もできないので耐えましたが。

朝7時過ぎにはもうタラカーン郡の中心地に到着、トゥクトゥクで5キロ程のホームステイ先の村に向かいます。行程がたくさんのようですが、バンコク出発から約12時間あまりで目的地に到着しました。

この村に来るのは一年半ぶりぐらい。道がコンクリート舗装されて歩きやすくなっていた事を除けば何も変わっていないように見えます。村の産業といえば農作業と竹製品がほとんどですが、男性は夜になると日雇いの運送業や食用蛙の捕獲に出かけるようです。

到着時は、おばあちゃんが若者に竹の編み方を教えているところでした。川で魚を取る時に水を仕切きる道具で、「ファーリー」と呼ぶそうです。

早速自分も教えてもらって編んでみましたが、やり始めてすぐに汗が噴出してきました。とにかく暑いんです。30分足らずでギブアップしました(弱)。あと竹って、慣れないと指が痛いですよね。ささくれも有るし。

とりあえず手伝うのは止めて(?)、隣の家の竹職人のじいちゃんを見学。

この人は腕前が良いので評判だそうで、朝から夕方までいろんな物を作りつづけてます。小さい物から大きな物まで。何が凄いって、最初に竹を裂いて材料にする時点でもう既に綺麗なパーツになってることが凄いですね。細い竹で編んだ籠をしげしげと見てたら、「おまえにはまだ無理だ」だそうですが、自分は挑戦する気は有りませんよ、という感じ。


こちらは魚を捕まえる罠として使う道具と、その作成中のもの。内部は入った魚が出られないような複雑な構造をしている。

使い込まれた仕事道具のこんな大きな籠も、よく見るとよくできてる。

「花壇用の器を、何も指図しないから好きなように作りなさい」と言われて自分が作ったのがこれ。
それはもう、酷いものが出来ました。その後、果たして使われたのかどうかは知りません。


日中はとにかく暑いです。田舎の人は農作業が無ければ寝てばかり居て、とか批判する人も居ますが、実際この陽気では、寝ないと倒れちゃうんじゃないでしょうか。自分も今回の滞在中は、かなり昼寝しました。
上の職人さんとは反対隣の家のおじさんの寝姿。
ハンモックって気持ち良いですよね。写真上部では犬も寝てます。

2008-07-02

マレーシア-タイ交流会

6月28日は文化センターにて、子供楽団とマレーシアから訪タイしている楽団との交流会。

今回タイに来た楽団は、左のマレー風の笛の主旋律にアコーデオンと鐘のバッキング、ドラと二人の太鼓がリズムという構成。楽器は大人で舞踊は子供ときっちり分かれてました。 アコーデオンってほんとにいろんな民族音楽で使われますね。

こんな風にのけぞる所なんか、マレー風?

見学する文化センターの生徒達、うじゃうじゃいます。

今回我々の方はポンラン楽団だけでした。自分は人が足りない為ベースやってましたが、盛り上がってきたら父兄の人にベースを奪われちゃいました。が、途中わかんなくなったらしくて返してきました。

マレーの楽団は暫くタイで活動するようです。

マレー・ダンサー。カワユス。