今回はケーンノーイと呼ばれるミニ・ケーンを作ってみることにした。通常のケーンが8+8の16本の竹管なのに対してミニサイズは7+7の14本。全体にキーが高く、通常のケーンの中高音だけの構成となる。ただし構造的には最も高音の2管が無い以外は普通のケーンと同じ。
写真は竹を選んで切り出した所。選ぶだけであれやこれや悩んで1時間以上かかったりして。
リン打ちはまだ無理という事で打たせてもらえず、ノミ入れ後の状態からやらせてもらう事になった。※リン打ちとは金属を叩き伸ばしてリン(リード)の形にする事。ノミでリードの真ん中の振動板の形にする。
職人は指先の感覚だけでリンの厚さを測るが、これは非常に難しい。装着前の大まかな調整を、持参のマイクロメーターでチェックしながら行ってみた。その過程では厚さ0.15mmだと厚すぎてダメ。約0.12~0.13mmでOKが出るという感じなので、0.02mmの差が指先の感覚で分かる必要が有るという事。そして大まかな厚さ調整の後、装着してしまうと自分の道具ではもう厚さを測る事は出来ない。この指先の間隔は、果たして練習によって身に付くのかどうか、ちょっと途方にくれた感じだ。
写真は振動板と枠との距離を調整するのに使う、竹の一種でマイサーと呼ばれる自然のヤスリ。これでリンの縁を擦るとミシミシと削れる。非常に優秀。擦って効果が減ったらナイフで切り取ってまた新しいところを使う。しかし振動板の根元まで一定間隔に仕上げるのは非常に難しい。案の定頑張ってみたもののデコボコの間隔になった。その出来の悪さは後で結果として思い知ることになる。
タオケーン(掌で抱える部分) はノミでおおまかな形に削り出してからナイフで形を作ってゆく。ナイフ一本でひたすら削るので手が疲れる。
タオケーンが出来上がって組み立て前の状態。
組み立て前の調音結果はあくまで仮の状態。竹管をタオケーンに入れて組み立てるとあちこちに音のズレが起きる。従って調音の行程はリンを装着する時からケーンを組み立てた後の再調整までを含めたものと考えるべき。
今回作ったミニ・ケーンとEmケーンの比較。大体半分ぐらいの長さ。吹いてみればすぐ分かるが非常に厳しい結果で、どうやら実際の演奏に使えるレベルとは言いがたい。原因の全てはリンの仕上げのまずさに起因すると思って良いだろう。
後で知ったが、高音のリンは元々作るのが難しい。 キーの高いミニ・ケーンは通常よりも高い音が要求され、実は職人でさえも作るのが大嫌いなのだそうだ。最初の挑戦としてはちょっと無謀だったかもしれない。次回の勉強は1月、通常のケーンを作ってみたいと思う。できれば実際に演奏に使えるレベルを目指してみたい。
おまけ:
子供用ケーン6。これも注文された物。一応ポーサーイのモードで演奏できる。
祭事に使う貝の笛。ケーンのリンを装着すると大きな音で鳴る。これも注文の品。
捨てられた竹の切れ端のベッドで寝る犬、気持ちよさそう。ビール瓶は自分がここに居る間に飲んだ分。
この竹の切れ端、捨てるのは非常に勿体無い。ウォートとか作るのに充分使える。と思っていたら、この時訪ねてきた舞踊学校の先生がごっそり持っていった。
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