2011-08-18

行程メモ 1.竹管

朝一番の作業は、竹管の準備。

材料の束からケーン1セット分の材料を選んで切り出す。低音は太く長く、高音は細く短くなる。また低いキーのケーンなら全体に太く長く、高いキーなら全体に細く短くなる。

ケーンのキーの高さと竹管の長さの関係は、経験からおおよそ決まっている。少なくともルーペー(調律で管の上側と下側に開ける穴)の位置より充分な長さが必要。低音の管はルーペーの距離が遠いのでその分の長さが必要になり、高音の管は短くて良い事になる。それに伝統的な見た目の美しさを加味して各竹管の長さを決める。

竹の節の位置は、下側はタオ(胸、手で持つ所)の下に直線的に、または斜めに並ぶようにする。一方上側の節の位置はさほど気にしない。ただし節が無いよりは有った方が竹管が割れにくくなる。ここで竹を切り出した時点で最終的な長さが決まる。

曲がった部分を矯正している。
火を起こす。炭とか燃料は使わない。樹の幹をじわじわ燃やして、それで取り囲んだ場所に竹を通す。炭よりも熱すぎない頃合いが良いのだと思われる。何にしても竹を焦がしてしまうと台無し。

何度かまんべんなく竹管を熱して曲がっている部分を真っ直ぐに矯正して行く。同時に全体に淡く白っぽかった竹全体をほんのり茶黄色っぽい色にする。これで生の竹とは違う、ケーンの色になる。

全体に色づいたら目の細かい砂を付けた布で擦って磨く。

どの行程もそうだが、これも急がず落ち着いてやるのが大事(先生は「チャイ・イェンイェン」と繰り返していた)。大抵は朝起きてまだまだ頭がぼんやりしている頃に行う。火に当たっていることも有ってこの作業中は誰もが眠そうな顔になる。

これで竹管は真っ直ぐになり、出来上がったケーンがきちんと立てて保管してある限りは竹管が曲がる事はほとんど無い。

初めてやってみたところ、あっさり焦がしてしまった。落ち着いて炙り過ぎたようだ。自然の竹は意外とでこぼこと曲がっているので、かなりあちこちの部分を矯正する必要が有る。どこが曲がっているのか、どの点を矯正すれば良いのか、見る目の遠近感が大事(自分はひどい近眼なので辛い)。

メモ: 音の高低の調整の為だけならルーペー以上の長さは要らない。実際ルーペーで切り取って上下デコボコのミニケーンも有るが、竹管の振動で増幅された音こそがケーンの音。深みのある音にするにはある程度の長さが有ったほうが良いし後の調整の為にも長さに余裕が有ったほうが良いという事。

(追加: 2011-11-8)

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