2008-08-24

文化庁祝賀会

21日(木)は文化センターにて、文化庁の祝賀会に子供楽団が参加。


この日は文化庁の大臣とかの要人が来るということで、子供楽団が小ホールの玄関で出迎え演奏。そろそろ来るよというので演奏を始めるも、要人一向は一瞬で通り過ぎただけでした。こういう床にべたっと座ってのんびり演奏するのも良いですね。しかもビア・チャーンの生ビールが飲み放題だったので最高です。
そのまま30分ぐらいやって、楽団はホールの中に移動。


ステージ上の大臣を祝福する儀式。お馴染みバイシースークワンと腕に紐を縛るプークケーン、何故か全てイサーン式でした。ステージ上の大臣に歌を捧げるのはシンラピンヘンチャートでもある有名歌手(名前は分りません)。歌はラム・タットと呼ばれるタイ中部の芸能でした。

この日は舞踊とか人形とかいろんな出し物がてんこ盛で、結局我々がやったのは10分足らずでしたが、ビア・チャーン飲み放題のおかげで、終わる頃には完全に出来上がっていました。満足です。

舞踊の生徒の美人な子と記念撮影するN先生。ご機嫌ですね、気持ちは分ります。後で写真を送るようにしつこく言われました。

2008-08-13

学生ポンラン楽団コンテスト

追記 8-16: タイトル付け忘れてました。

8月10日(日)と11日(月)は学生ポンラン楽団コンテストを見学。

全国から応募してきた学生による楽団をビデオ審査し、残った楽団が実演で競うという年に一度の催し物です。去年も見に行きましたが、今回も同様に国立競技場のステージで行われました。去年の一日4楽団に対して今年は一日7楽団と大幅にボリュームアップです。

写真は会場でのシルクの機織りの実演。ポンランといえば発祥地のカラシン県。カラシンといえばタイシルクですね。 カラシンのシルクは「プレーワー・カラシン」と呼ばれまして、舞踊のスタンダード・ナンバーにも同名の物が有ったりします。

コンテスト一日目は18歳以下の部。

といってもほとんどは学校単位での応募ですから、楽団によってはどう見ても中学生以下のメンバーしか居なかったりして。

写真はカラシンの楽団。半裸で踊る男は「ガップ・ケップ」と呼ばれます。これは手に持っている打ち木の名前でもあります。これを打ち鳴らしながら踊るのでそう呼ばれるようです。

こちらもカラシンの楽団。この女性の歌が凄く良かった。高校生ぐらいでしょうか。

やはり本場のカラシンですね。この日出場した7楽団中、3楽団がカラシン県から来ていました。


一日目で個人的に最も好きだったのがこのスリン県の楽団。 ポンランと言えばイサーン音楽ですが、スリンと言えばカントゥルム。演奏も全体にカントゥルム風味で、もちろんソー・カメーン(クメール胡弓)も居ます。そしてカントゥルムの曲になるとダンサーは飛び跳ね、走り回り、首を振って踊り狂います。これは霊が憑依した表現でして、最後はバタっと倒れて霊が抜けた表現で終わります。この楽団の太鼓奏者がまた凄く上手で、カントゥルム風味のリズムで観客は踊りまくってました。やはりクメール文化ですね。


そして二日目は大学生の部です。

午後1時に始まると聞いていたのに何故か3時開始。なので準備中のラムカムヘン大学の人達を訪問しました。以前大学で二日間一緒にやった人達です。ソムタムとごはんをご馳走になりました。

写真は舞台で使うバイシーを作成しているところ。ちゃんとバナナの葉っぱとロウソクで作ります。随分大きいですね。

そのラムカムヘン大学の演奏。

実はこの日は舞台裏で酒盛りになって酔っ払ってしまい、あまりちゃんと聞けませんでした。わざわざ見に行ったのにもったいないですね。

結果はなんと、そのラムカムヘン大学のポンラン楽団が優勝しちゃいました。イサーン地方の楽団を差し置いてバンコクの楽団が優勝というのは想像もしていませんでしたが、去年も準優勝だったので以前から実力は十分なんですね。何にせよ、おめでとうございます。ちゃんと見てなくてすいません。ビール3本も飲んじゃったので。

臨時に設置した祭壇でお祈りしているのはオカマさん。もはやラムカムヘン大学の名物ですね。結構美人?

2008-08-02

ウボン旅行4 村の歌い手達

今回滞在した家の近所には、ラム(語りや歌)が好きなおばあちゃん、おじいちゃんが何人も居ました。村のモーラム達と言ったところでしょうか。

自分はラムクローン等のいわゆるケーン・サイ・モーラム(ケーン一本にモーラムの歌が加わること)の経験がほとんど有りません。今回宿泊した家にはラム好きのおばあちゃん、おじいちゃん達が尋ねてきたので、この機会にたっぷり手合わせをしてもらいました。

村のモーラムなおばあちゃんとおじいちゃん。形式は一般的に聞かれる伝統的なラムクローン、ラムローンのスタイルとほぼ同じのようで、主にターン・サン、ターン・ヤーオ、トァーイの三種類です。それぞれ、以下のもの。
  • ターン・サンはメジャー調で軽快なリズム。ケーンは主にスッサネン。
  • ターン・ヤーオはマイナー調で朗々と歌い上げるもの。ケーンは主にライヤイ。
  • トァーイはマイナー調で重く強いリズムを刻むもの。ケーンはライヤイかライノーイ。
なにしろ経験が無いので最初は「教えてもらおう」というつもりだったんですが、おばあちゃんが「まぁとりあえずスッサネンな、ほれ前奏吹け」というので吹き始めると、おばあちゃん合掌してお祈りを始めます。そして最初から全力でモーラムのモードに突入してしまいました。おじいちゃんも同じく合掌して「崇高なるものを称える」ところから入るので緊張感があります。こっちは「よく分かってないのに、まずいなぁ」という感じだったんですが、ぎこちなくもやってるうちにちょっと慣れてきました。

トァーイになると、踊りだすおばあちゃん。

結局ラムの伴奏については「教えてもらう」というよりは、とにかく一緒にやって自分なりのやり方を見つけていく、という感じでしょうか。一言だけ言われたのは、「語りが始まったらちょっと音を押さえなさい」ということだけでした。実際ラムが非常に聞き取りにくくて、旋律が今どこに向かっているのか分からなくなることがしばしば有りました。単に自分のケーンの音が大きすぎたようです。

何度か練習させてもらった後の22日、お寺で行われた村民会議の場で披露。

歌うのも見るのも村人。おばあちゃん達は何人も入れ替わり立ち代りで歌います。伴奏は自分のケーン一本だけですから、わかんなくなっても止まるの禁止です(笑)。

イサーン地方の田舎なら、昔はどこの村にもモーケーンは居たものですが、今のこの村には全く居ないそうです。特に職にするほど上手な人が居たら、もっと需要のある土地に移っていってしまうのだそうで。そういう事情で、たとえ外人でもモーケーンが来たということで結構喜ばれたようです。

このときはラムが入る前に独奏でやったんですが、吹き始めた途端に喜んで奇声を上げる人とかが居ました。ケーン吹いて奇声を上げて喜ばれるなんていうのは初めての経験です。聞く機会が減ったにせよ、やはりイサーンの田舎ではまだまだケーンの音に対して血が踊るような、特別な感情が有るのかもしれません。

滞在中毎晩次々と訪れた、村の歌い手達と。

おかげでこの村での滞在は、なかなか楽しい十日間でした。よい経験だったと満足をしつつ、バンコクへ向かいました。