2007-06-25

壮行会

23日、いつも世話になっている先生達が演奏旅行へ行くということで、記者会見を兼ねた壮行会に参加。

目的はスミソニアン・フォークライフ・フェスティバルというイベントで、世界各地のミュージシャン、ストーリーテラー、アーティスト、シェフといった各分野の才能たちがワシントンのナショナル・モール地区で約二週間パフォーマンスを行うというもの。メコン川流域の各民族に焦点を当てた部門として、中国、タイ、ラオス、カンボジアの各国の省庁も参加する合同イベントだそうです。全然知らなかったんですが、上記のページを見てみると、毎年恒例の文化イベントとしてはアメリカ最大規模なのだそうだ。

壮行会ではケーン楽団の披露も有ったので、自分も加わるのを楽しみにしていたのに渋滞で遅れて参加できず、着いた時にはパフォーマンスが終わるところでした。でもマハサラカムのケーン楽団の皆にまた会えて嬉しい。壮行会の後は楽器の梱包をしながら好き勝手に楽器を鳴らしてワイワイとやって、この日皆が宿泊するホテルへ。

ホテルに付いたらさっそく部屋で練習。ケーン楽団で使うケーンヤイは長いので天井に突き刺さらないよう注意しないといけない。ビールを飲みつつ深夜までワイワイとやって就寝。

それにしてもこの人達、本当に会うたびに年中楽器を弾くか歌うかしている。今ごろはワシントンに向かう飛行機の中でワイワイやっているんだろうか、と思うと回りの乗客に同情する。

写真は梱包中のケーンとピープータイ(プータイ族の笛)。ピープータイはそれぞれ異なるキーのケーンに合わせて作るのと、繊細で音が歪みやすいので何本も用意している。また製品化されたものは無いので各自が自分で作るか、ケーン職人に特別に注文して作るもの。

ビデオはホテルにてラムを練習中の様子。N先生の伴奏に後輩のラム。
video

2007-06-20

モーケーン・ファラン

最近は西洋人のモーケーンも結構居るらしいんですが、中には凄い人がいるもんですね。

クリストファー・アドラー - Wikipediaより
クリストファー・アドラー (Christopher Adler)はサンディエゴ出身のアメリカ合衆国の作曲家、ピアニスト、即興音楽家、ケーン奏者。1972年生まれ。(中略)マサチューセッツ工科大学で数学と作曲を学んで学士号取得後、博士号取得までデューク大学で作曲を学んだ。奨学金をもらってタイへ留学しケーンのプロ奏者になるべく研鑽を積んだ。西洋楽器とシャム伝統音楽楽器の混成アンサンブルの作品を世界で初めて作曲し、世界中の音楽学関係から注目を浴びる。 その傍らで即興音楽アンサンブルNOISEを結成し、全米中で公演を行っている。現在はカリフォルニア大学サンディエゴ校で助教授として教鞭を取る。
うーん、インテリです。 Christopher Adler: Recordings のページにて、いくつか作品が公開されています。正直、西洋楽器やタイ中央楽器とのアンサンブル等の現代音楽的な作品はさっぱりわかりませんが、このページ中のライヤイ(Lai Yai Lam Tang Yao, improvisation in a traditional Northeast Thai style)のライブ録音を聞く限り、本来の伝統的スタイルにおいても正真正銘のモーケーンですね。マハサラカム大学の客員教授だった時もあるそうで、どおりで自分の先生達の中にも何人も知っている人が居ました。

[070701追記: この人の文書のページを見ると、「ケーン: 作曲家の為のノート (Khaen: The Bamboo Free-Reed Mouth Organ of Laos and Northeast Thailand: Notes for Composers.) 」という文書が追加されています。ケーンを使う曲を書くのに必要な知識(構造、演奏法の特徴、スケールと和音、ドローン、テクニック面で出来ることと出来ないこと、等)を簡潔に記述したもので、短い文書ですがコンポーザがケーンを使う曲を書くのに知っておくべき事柄がきちっと書かれています。これを見ると、やはり演奏家であると同時にコンポーザとしての一面を強く感じます。]


もう一人、Jonny Olsen というモーケーン。こちらは現在もタイで活動している人で、youtubeの本人のプロファイルを見ると分かりますが独奏のCDを出したり、歌手として歌っているプロモやTV出演の録画を公開して積極的に宣伝しています。タイのショービジネスに飛び込んで笑いを取ったりしながら頑張っているといった感じですね。スタイルは俗っぽいけど海外にイサーン音楽を広めたいという意欲も感じます。演奏は上の人に比べたら普通ですが決して悪くない、というか分かりやすくて良いと思います。

[080302 追記: その後、彼のyoutubeにはライノイとライソイの独奏が加わっています。特にライソイのケーン独奏は、一般的に難関と言われていまして、演奏はまだ十分では無いとしても、「ここまで来た」という目安に成るのではないかと思います。

また、ラオスで製作した新DVD「ヤーク・ペン・コンラオ」の宣伝を兼ねて、Voice of America のラオス版に電話インタビューが出てます。発音を聞く限り、学校でちゃんと習ったことが無いようですが、言葉は問題なく理解できるようですね。ラオス人の機嫌を取るような発言もばっちり。おそらくイサーン地方で自然に覚えたイサーン語からラオス語も自然に身につけたのだと思われます。たいしたものですね。]



この二人を並べると対極的というか方向が240度ぐらい違いますが、モーケーン・ファランと言ってもそのくらい幅が広いということで。ところでこの中間ぐらいの人は居ませんかねー。

2007-06-13

TV9ch「クンプラチュアイ」

TV9chに毎週火曜の夜「クンプラチュアイ」という番組が有る。この番組、タイの伝統音楽を題材としたコーナーが有り、たまにイサーン音楽の話もあるので興味深いことがある。

で、いつも見るわけじゃないけど昨日なんとなく見ていたら、ピープータイ(プータイ族の笛)を紹介をはじめた。こういうものがメジャーなメディアで取り上げられることなんてまず無いと思っていたのでこれは珍しいとびっくりしていたらその後、いつも世話になっているN先生とA先生、それに子供楽団の天才ポンラン少年の三人が出てきて二度びっくり。

内容はプータイとアフリカの民族音楽の競演。つまり3月のRama8橋でのブルキナファソの楽団との競演を形を整えて再現した、ということのようだ。あの時ポンラン少年のアドリブが凄くはまっていて少年を誉めまくると本人は「うーんでたらめだけど」とか言ってたけど、実際良かった。

しかし何の前触れも無く出てきたのでポカーンとした後、思わずTV画面を写真に撮ったりと変なことをしてしまった。そういえばこの番組のレギュラーの西洋人トッドさんはあの民族音楽コンサートシリーズの主催の人だったので、もともと自然な繋がりだったんだな、と納得。


(06-18追記)N先生とポンラン少年が16日の深夜の番組にもまた出てきた。今度は3chのクイズ番組。今度は終わる間際で演奏は見れなかったけど。偶然2回も見たということは、あちこちに出まくっている?

右の西洋人がトッド・トーンディーさん。民族音楽の分野に焦点を当ててレーベル運営やコンサート主催、流暢なタイ語で司会、と精力的に活動している。

N先生とA先生は来週からアメリカへ演奏旅行に行くそうで、ちょっと寂しい。

2007-06-11

バンコク都庁前にて

6月10日(日)は、バンコク都庁前の広場にて演奏。

広場を挟んで都庁の反対側には建て直したばかりの鳥居みたいな形の巨大ブランコの柱があって、これはバンコクの観光名所でもあります。巨大ブランコはヒンドゥー教の儀式で使われるもので、一般にサオチンチャー(ブランコの柱)と呼ばれています。

今回は都庁前広場での特設マーケットのための催し物で、広場は店舗のテントで埋め尽くされていました。

演奏内容は相変わらずポンラン楽団のスタンダード舞踊とルークトゥン・モーラムですが、今回はお笑いの部分がかなり多くて久しぶりに日本人対タイ人の腰振り合戦をやらされました。メンバー紹介で前に呼ばれて、「このケーン吹いている人はタイ人じゃ無いんですよー」と始まると大体こういうパターンなんですが、ちょっとソロをやって「腰の振りがまだまだだねー、本物のタイ人と比べてみましょう」というと凄い腰使いのタイ人が出てきて競い合う、というたわいも無い内容。

これがウケてるのかどうなのか、正直よくわかりませんが、きわめてタイ的なお笑いの定番ということで、しょうがないですね。正直に言うと、やっている方の自己満足のような気もするんですが。

ちなみに今回は出演者全員、無償ボランティアだそうです。

2007-06-08

ビエンチャンでモーラムに会う

再びビエンチャンに来た。

市内中心部の噴水広場前の道路は前回と変わらず工事中。たぶん日本の協力でやっているのだろうけど、進展しているように見えないばかりか更に下水道か何かを掘りはじめているようで酷く歩きにくい。いったい何ヶ月間こんなことをやっているんだろうか。

今回はモーラムを紹介してもらってラムの伴奏の手ほどきを受ける、という目的が有ったのでさっそく前回モーケーン・トーンスァーイに会った図書館へ向かったが休暇中で不在ということで、とりあえず館長さんとお話。

前回も訪れた図書館の資料室。前回は気付かなかったけど今回よく見てみると、これらはまさにモーラムの原点を示す古文書なんですね。棚の一つにはチャードック (ชาดก) と書いてあり、椰子の葉等で作った書物の形をしている。以前の資料の通りで、あぁこれがそうか、なんて思った。

館長さんのはからいで夜はなんとかトーンスァーイさんと待ち合わせすることができ、その後公用トラックで郊外のモーラムの家に向かう。胴体に日本語で「お話プロジェクト」とか書いてある車で、これも日本の支援の一部なのだろうか。

モーケーン・トーンスァーイ(左)とモーラム・ソムブーン・ペットマーニー(右)。

2時間ほど手ほどきを受けることができたので、今回もトーンスァーイさんの手本をmp3プレーヤーで録音しておいた。録音の質は悪いけど。

(6-13追記:録音を編集しなおしました)

Morlam Sombun PhetMaNi and Morkhaen ThongXeuy UThoumPhone 2007-06-07 Vientian
  • SutSaNaeng rythm part スッサネンの後半のリズムが入る部分。
    まずスッサーネン、前奏と語りのところは何とかなるんだけれど、後半リズムが入るとこれがラムと全然合わないので手本を示してもらった。これは時間をかけないとだめなようだ。ケーンはAmスケール。
  • LamSing ラムシンの手本。
    前半は語り、後半はおなじみのラムシン。モーラムとして成功したモーラム・ソムブーン本人の生活を歌っている。ケーンはAmスケールでライノーイ(Dm)。トーンスァーイさんはこれを自分にやらせたいらしく、何度も何度もやらされた。
  • ToeiKiao トァーイの手本。
    最初はラム無しでライヤイ、その後ラム有りでライノーイ。ケーンはGmスケール。
右は練習中の図。トーンスァーイさんが撮ってくれたけどなんだか構図が変ですね。

初めてのラムの伴奏で、たった2時間程度なのであまり身についた気はしないが、まぁよい経験になった気がする。モーラム・ソンブーンさんは非常に良い声で、それを目の前で聞くこともできたし。お祭では二日間眠らずに歌い続けることもあるそうだ。

それと、モーケーン・トーンスァーイさんからケーンを習う日本人は何人も居て、「これだけできます」という証明書を何度も書いたそうだ。ということはラオスでケーンを習う日本人は何人も居るということで、これは意外なことだった。トーンスァーイさんから習ったことがある人とお知り合いになりたいところです。

ただ予想外の問題だったのが、トーンスァーイさんは普段はなるべくタイ語を話すように気を使ってくれるのだけど、タイ語を使って教えているのを役人が聞いたら問題になるということで、録音を公開するとなるとラオ語でなければならないのだそうだ。これは想像もしない事だった。ラオ語が聞き取れない上に、お土産に持って行った強い酒のせいで、説明を聞いても途中からわけがわからなくなった。

今回は本当は一週間ぐらい習うつもりだったのだけど急にバンコクに帰らなくてはならなくなり、今回手ほどきを受けたのはこれだけ。また機会を見つけて行きたいが、現在タイ国内でとても興味を引かれる地方があるので、次回はまずはそちらを攻めてみたいと思っている。

それにしてもケーンを持って旅行に行くといろんな人から吹いてくれと言われる。ビエンチャンの噴水広場前やノンカイのイミグレなど変なところで吹いたけど、わいわいと人が集まってきて踊り始めたりして面白かった。